「くらしヒアリング発表会」とは?

オレンジページは、さまざまな調査を通して「生活者の声」に耳を傾けることで、本当に求められているニーズや世の中の小さな兆しを見つけ、誌面づくりを始めとする、さまざまな事業に生かしてきました。

「声」をあげて下さる核となるのが、オレンジページを支えるモニター組織「オレンジページメンバーズ」。そしてメンバーズのリアルな声から導き出された調査結果を、生活者に向けたビジネスに関わる方々にお届けするのが「くらしヒアリング発表会」です。

7月28日(金)に実施したのは、「おうち和食のリアル」。和食離れが進み、「家庭から和食が消えつつある」という声も聞かれるなか、実際はどうなのか、本当に和食は作られず、食べられなくなっているのか? 生活者から送られたリアルな食卓写真をもとに、長年編集に携わってきた料理編集歴30年の今回の調査担当者の目線から探ってみました。


本当に家庭で「和食」は作られていないのか!?

まずは、ふだんの食事についての定量調査を実施。おかずについて、「作る頻度が高いジャンル」と、「月1回以上作るジャンル」を聞いたところ、どちらも「和食」がトップに。
作る頻度の高さでは「和食 61.6%」、月1回以上作るジャンルでは「和食 89.8%」という結果になりました。

「よく作る和食のメニュー」では、30~70代のどの世代でもほぼ変わらず「肉じゃが」「煮もの」「しょうが焼き」「焼き魚」が上位にランクイン。
「煮ている間に他のことができる」「焼くだけだからラク」といった声も多く、作業効率のよさや手軽さから、これらのメニューをチョイスする人も多いようです。

一方で、「和食は苦手」という声をよく耳にするのも事実。実際、編集部時代にも読者からよく聞いた言葉です。

そこで、「あなたがいちばん得意/苦手と思う料理のジャンル」を聞いてみると、意外にも「和食が苦手」と答えた人は、わずか11.2%
ただし「和食が得意」と答えた人も46.5%と半数以下という結果に。はっきりと「苦手」と答えた人は少ないものの、「得意とは言い切れない」人が半数以上いることがわかりました。

また、苦手は人は和食を作っていないのかと思いきや、「和食が苦手」と答えた人のうち80%以上の人は和食を作ると回答。
得意、苦手にかかわらず、家庭で和食が作られているという実態が浮かび上がりました。

どんな「和食」を作ってる? リアルな食卓写真

では、今の家庭で作られている「和食」はどんなものなのか? ふだんの食事の写真投稿を募りました。募集はテーマと実施時期を変えて2回に分けて実施。テーマは

1.あなたが作った〈和食〉の写真を見せてください
2.あなたが作った〈晩ごはん〉の写真を見せてください

の2つです。2回の募集で集まった写真は、総計351点
前編では、テーマ1の「あなたが作った〈和食〉の写真を見せてください」を見ていきます。

と、その前に、そもそも「和食」とはどういう料理なのかを確認しておきましょう。
一般的に「和食」の特徴として挙げられるのは、以下の5つ。

● だしを使う
● みそ、しょうゆなどの発酵調味料を使う
● 旬の素材を生かし、季節感がある
● 器や盛りつけなど目でも楽しめる
●「ご飯・主菜・副菜・汁もの」で栄養バランスがとれている

これを踏まえた上で、リアルな食卓写真を見ていきたいと思います。

こちらの3点は、ご飯、主菜、副菜、汁ものがそろい、いわゆる「和食のイメージ」に近い献立になっています。
こうしたイメージ通りの「和食」の写真も多くあったなか、次に挙げるような写真も……

「麻婆豆腐」「水餃子」といった、一般的には「中華」のイメージが強いメニューを「和食」として送られてきたものや、ハーブなど、洋風のメニューで使われることの多い素材を合わせたものを「和食」としている例も多く見られました。
どうやら「和食のとらえ方が広がっている」と言えそうです。

他には、「ご飯と汁もののみの献立」や、副菜にあたるものが見当たらない「主菜2品の献立」や、「汁ものがない献立」、和風のおかずに、主食としてホットサンドを合わせている献立も見受けられました。

また、市販のレンジご飯がパックごと出されていたり、主食、主菜、副菜がすべて一皿に盛られた「ワンプレート盛り」など、盛りつけに特徴がある写真も多く見られました。
いわゆる「和食」では、ご飯は茶碗に、主菜、副菜はそれぞれ別の器に盛られることが多いので、こうした盛りつけ方にも、「家庭の中での和食」のリアルな形を見ることができます。

「おうち和食」は変化している

今回の食卓写真からは、かつて家庭で作られ、食べられていた「和食」からは、いろいろな変化が見てとれました。

●「和食」のとらえ方の広がり
● 主菜・副菜という概念の変化
● 汁もの・主食の変化
● 盛りつけの変化

今も家庭で「和食」は作られ続けているが、形は少しずつ変化している、ということが垣間見えました。

次回「後編」では、食卓写真のテーマ2「あなたが作った〈晩ごはん〉見せてください」と、
「おうち和食」の変化の背景について見ていきたいと思います。


オレンジページでは、さまざまなリサーチやデプスインタビューによる生活者のリアルなインサイト発掘、「兆し」の発見で、みなさまのマーケティング活動のお手伝いができればと考えております。ご興味がありましたら、下記までお問合せください。

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