「くらしヒアリング発表会」とは?

オレンジページは、さまざまな調査を通して「生活者の声」に耳を傾けることでニーズを見つけ、誌面づくりを始めとする、さまざまな事業に生かしてきました。

そんなオレンジページを支えてくださるモニター組織「オレンジページメンバーズ」のリアルな声から導き出された調査結果を、生活者に向けたビジネスに関わる方々にお届けするのが、「くらしヒアリング発表会」です。

2023年12月8日(金)に実施した発表会のテーマは、「家計簿愛用者に見る『家族消費』のメカニズム」。当社と株式会社インデックス・アイとの共同調査で、パーソナルな記録内容から、財布の紐が緩む傾向や、消費に対する考えをうかがい、分析。調査手法とともに紹介しました。

「オレンジページの家計簿」の愛用者に聞く、「意味ある投資」「節約」「無駄遣い」とは?!

ベースとなるのは発刊から31年を迎えるオレンジページの家計簿。「シンプル」「シニア向け」など4種類を発売中で、バーコード決済にも対応するなど、アップデート&続けやすいところが支持されています。

今回は、複数年継続して利用している4名を対象に、まず、自分で2021年と2023年の家計簿を見返してもらいました。次に現物を送ってもらい、当社とindex-iで消費の傾向について分析。最後に、オンラインでデプスインタビューを行い、本人も意識していなかった「気づき」を発見することに努めました。

お送りいただいた家計簿には、日々の買い物内容や金額、貯蓄額などが記載されているほか、なんと給与明細を添付されている方も! 「家計」という、聞きづらいテーマではありましたが、ありがたいことに、そのままお貸出しいただくことで、よりリアルな実態を把握することができました。その模様を一部、ご紹介します。

中学生の娘と3人暮らし Pさんの家計簿、家計管理

結婚を機に家計簿をつけ始め、20年近く続けているPさん。家計簿をつける目的は、どちらかというと「家計改善」というよりも、収入や教育費の変化など「家計の把握」のためだそう。アプリなどよりも、冊子タイプを好むのは、データが消えてしまったり、いきなりサービス終了になるリスクがないから、とのこと。

事前課題の振り返りでは、
・娘が部活で忙しく、外食が減った。その割には食費がそれほど変わっていないので、結局増えている?
・おいしいものを食べたいので、食費減は難しい……。
といった意見が。

実際に家計簿を拝見すると
・出費の欄に散見する「キャラクターグッズ」の名前。この出費にはどんな意味が?
・「テーマパーク」「旅行」の費用に関して、別ページで管理していることを発見。特別な思いがある?
・子供に関する出費が年々増えていることに関して、どのように感じている?
など、気になる点が上がってきました。

決めていた車があったが、家族で試乗した電気自動車を気に入り、即決!

事前把握の後、あらためてインタビューを実施。毎月のやり繰りや、コロナ禍の2021年は固定費の増減に気を付け、現在は日用品の値上がりを考慮して、無駄なまとめ買いを控えているなど、家計の工夫をうかがいました。

意外だったのが「車の買い替え」について。「この車にしよう」と決めていた車があったにもかかわらず、たまたま試乗した電気自動車の乗り心地に感動! 高級車ではありましたが、「家族みんなが気に入った」という理由から、思い切って購入されたそうです。試乗するまで「電気自動車とは知らなかった」というから、さらに驚きです。

支出項目をマッピングして把握。意味がある出費、無駄遣いの線引きは?

他の方々にも同様にインタビューを実施した結果、「家計の中の支出の位置づけ」には下記のような傾向が見えてきました。

右上の「投資・意味ある出費」に関して多く挙げられたのが、「旅行」「教育費」「医療費」、また「家族の趣味」など。自分のためではなく、家族みんなが元気で過ごすための「モノ」「コト」に関しては消費に意味がある=お金を出しても良いと考えていることが分かります。

右下の「無駄遣い、浪費」と感じているものは少なく、基本的に、意味があるものしか買っていない模様。また、左側の「節約」に関しては、「通信」「日用品」など、身近なものを節約している人が多く見られました。

家計簿を「見た印象」と、インタビューで「聞いた発言」のギャップ

また、当初、「家計簿ユーザー」に対して抱いていたイメージが、かなり異なっていたことが分かりました。

「インタビュー前のイメージ」 → 家計簿ユーザーは、できる限り切り詰めて、計画的にお金を使っている
「インタビュー後の実態」 → 意識的な節約はあまりしていない人が多く、ときに大胆な出費も行っている

勝手ながら、インタビュー前は「切り詰めている人」が多いように思っていたのですが、実際はそれほどでもなく、大胆に出費する人もいらっしゃいました。全員が同様というわけでは無いと思いますが、今回の4名は、収支を把握することで、使えるお金の感覚が身に付き、先読みしながら生活できている印象を受けました。

購買行動や、気持ちの共通点は?

4名それぞれ重きを置く項目は異なりますが、「購買行動」や「購買時の気持ち」などを整理すると、大きく3つのポイントが。

①家族が喜ぶ姿がみたい/ハッピーでいて欲しい
②家族みんなの思いで、体験づくり
③家族が健康でいて欲しい

それぞれ事情は異なりますが、突き詰めると財布の紐が緩む、意味のある支出とは、「家族のため」の出費であることがわかりました。昨今の様々な商品の値上げ、とりわけ食材の価格アップの下でも、4名が皆、「食費はさほど節約していない」と話していたように、「家族の幸せ」につながる消費は、価値ある消費であるようです。まさに家計簿を見ただけでは分からない、実際に話を聞いて分かった事実でした。


きちんと記録して話せるモニター×深掘り・読み解きのプロがいます!
株式会社オレンジページと株式会社インデックス・アイはこれまでも、さまざまな共同プロジェクトを実施しており、課題を実践し、生活を振り返って話せるモニター(オレンジページメンバーズ)と、インデックス・アイのさまざまな生活者の思考に迫る調査手法・分析と、編集経験者を含む読み解きで、ビジネス課題を明らかにしてきました。

ユーザー調査やデータを参考に、マーケティングしているけれど、しっくりこない部分があるなら、一度意見交換させてください。ご連絡をお待ちしております。

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