オレンジページがこれまで行ってきた調査から見えた、女性が40代で料理が好きという気持ちが落ち込む傾向。その要因は何なのかを探る後編です。

前編はこちら


40代前半無職と30代後半有職、
生活者インタビューでのリアルな声

前編では、「家族のためにちゃんとしなきゃ」というプレッシャーを感じている40代前半無職者と、料理に対して「めんどう」と感じることが多いにも関わらず、上手な割り切りで自分をラクにできている30代後半有職者の違いをみてきました。

「料理好きマインド」の落ち込みの要因と考えられる、40代前半無職の人たちの「ちゃんとしなきゃ」のプレッシャーはどこからくるのか…。生活者インタビューで、リアルな声を聞いてみました。

【40代前半無職・Tさん】

【40代前半無職・Tさん】
食事はほぼ毎日自分で作るというTさん。料理は好きではないけど、家族の健康のことを考えると、レトルトや簡便調味料はできるだけ使いたくないそう。

●たまに料理をや休みたいとは思うけど、外食で何を食べたらいいかわからない。子どもが行きたがる店のはいつもいっしょだし……

●お惣菜の揚げ物は量が少ないので、家族分買うとコストがかかる。だから週に2回は自分で作る。

●レシピの情報を探すことは、ほとんどない。新しいメニューを出しても、家族受けがよくないし。

●がんばって作っても家族から「おいしかった!」の反応がなく、モチベーションも上がらない。夫も空腹を満たすために食べているだけ。

インタビュー中、「家族」「子ども」というワードが頻出し、家族への配慮や家族優先のマインドが見えるTさん。いっぽう、家族からは反応が薄く、やる気につながらない。でも、食事は作らなきゃ……というジレンマを感じているようでした。

【30代後半有職・Sさん】

【30代後半有職・Sさん】
料理に限らず家事全般が好きではないというSさん。ただ、食べることは好きで、自分がいっぱい食べたいから品数はたくさん作るそう。

●作るのはいやだけど、買い物は楽しい、安いものを見つけて何を作るか考えるのはゲーム感覚。

●決まった数の食材で、いかに品数を増やすか工夫している。

●炒めものとか簡単なものが多いけど、「これで文句あるなら食べるな!」って思ってる(笑) 揚げ物とかは家でやらない。買ってくるもの。

●後片付けは夫がやってくれる。週末のランチも夫が作ってくれる。ちなみに、いちばんやりたくないお風呂そうじも夫。「使えるダンナ」です(笑)

印象的だったのは、嫌いな料理の話をしているのに、Sさんの表情が明るく楽しそうだったこと。買い物をゲーム感覚で楽しんだり、「私ができる範囲でやる」という割り切りが感じられます。ちなみにお子さんは、ただの焼き魚でも「ママの料理、世界一!」と言ってくれたりするそうです。


「料理好きマインド」の落ち込み、
本人だけの問題じゃない!?

インタビューのお二人の話の中で気になったのが、「家族」の関わり方。料理をしても家族からの反応が薄い40代前半無職のTさんに対して、30代後半Sさんは、片づけや週末のランチを夫がしてくれるなど、分担ができているよう。

じつはオレンジページが「夫婦で料理の分担」について調査したところ、年代が若いほど分担率が高いことがわかっています。
20代で6割、30代で4割なのに対し、40代では3割程度にとどまっています。

40代は料理がワンオペになりがちで、身体的な負担に加え、「代わりがいないから、自分がちゃんとしなきゃ」というプレッシャーを感じているよう。例えるなら40代前半無職の人は
リリーフのいないエースピッチャー
のようなもの。そのプレッシャーの大きさは、容易に想像できますね。

40代での料理好きマインドの落ち込みは、本人だけでなく、家族の関わり方にも大きな要因がありそうです。


40代女性の「料理好きマインド」の落ち込み、
他社調査でも同じ傾向が

ここまでオレンジページの調査結果を見てきましたが、同様の調査を実施し、同じ傾向がみられたというのが、今回のセミナーにゲストスピーカーとしてご登壇いただいた、キッコーマン株式会社おいしさ未来研究センターの仲田真知子さん。

キッコーマン㈱おいしさ未来研究センター「食のしたく調査2021」
2021年12月実施:既婚女性20~79歳、週1回以上夕食のしたくをする人(n=2,755)
キッコーマン㈱おいしさ未来研究センター「食のしたく調査2021」
2021年12月実施:既婚女性20~79歳、週1回以上夕食のしたくをする人(n=2,755)

「弊社で行った調査でも、40代、50代で料理好きの気持ちが落ち込む傾向が出ています。また、作るだけでなく、〈料理が楽しい〉〈人に食べてもらいたい〉という気持ちも、40代、50代で落ち込むことがわかりました。30代との比較でも、40代は30代にくらべて手作り意識が高く加工品の利用頻度が低い点も同じです。」

キッコーマン㈱おいしさ未来研究センター「食のしたく調査2021」
2021年12月実施:既婚女性20~79歳、週1回以上夕食のしたくをする人(n=2,755)

「家族の関わり方」もオレンジページの調査と同じ傾向がみえ、40代は30代にくらべて「料理に対する家族の反応が薄い」という結果が出ていると、仲田さんはおっしゃいます。


意識の差、世代による育った環境や
親からの影響も

また仲田さんは、「40代と30代での料理に対する意識の違いは、世代によるところもありそう」とも。

40代と30代では育ってきた環境にも違いがある

「現在40代の人たちが子どものころは、専業主婦の数がピークだった時代。主婦は家庭にいて家事をこなすのが当たり前とされていた時代で、それを見て育った子は、〈自分もお母さんのようにちゃんとやらなきゃ〉という気もちが無意識にでもあるんじゃないでしょか」

また現在40代の男性も、自分が子どものころは父親が仕事優先で帰りも遅く、家事に関わらないのがふつうの時代。だから自分も、家事は分担するものという意識が高くないのでは、と仲田さんはおっしゃいます。

いっぽう今の30代は、子どものころに共働き世帯が専業主婦の数を上回り、中学では男子も家庭科が必修になった世代。世の中的にも、男性が料理をする姿をテレビで目にする機会が増えた時代です。30代の男性が家事に参加することにあまり抵抗がないのは、そうした背景もありそうです。


【まとめ】

40代での「料理好きマインド」の落ち込みの原因は、

料理のワンオペ
  ↓
「自分がちゃんとしなきゃ」のプレッシャー

というところが見えました。

では、そのプレッシャーを減らすには、どんな商品やサービス、情報発信が必要なのかを考えてみました。

①脱! 「……ねばならない」

●「手作りの範囲を広げる」メッセージを伝える

●超シンプル! 「考えずにできるレシピ」の提案

●「ラクになる」より「おいしくなる」を訴求

「食事は手作りでなきゃ」「手抜きと思われないようにせねば」のプレッシャーを和らげるには、たとえば簡便調味料を使っても、それも〈手作り〉なんだという情報を発信したり、「何も考えたくない日は、これ!」という、超絶簡単だけど立派な一品として成り立つメニューレシピの提案などが考えられそう。手を抜くことをすすめるのではなく、「ちゃんとやれてる」の気持ちを満たしつつ、ラクになる方法を伝えられるかがポイントです。

②脱! 料理のワンオペ

●料理初心者男性や子どもでも使いやすい調味料やグッズ

●料理初心者男性や子ども向け料理教室

●「週末チャレンジランチ」のようなキャンペーン

ワンオペをなくす減らすには、家族で料理ができる人を増やすのがいちばんの近道。これまで料理をしたことがない人に、「やってみようかな」と思ってもらえる商品やサービスを提供することも、40代女性のプレッシャーをやわらげることにつながります。

10年後には、今の30代が40代。そのころには「40代女性の料理マインドの落ち込み」はなくなっているかもしれません。


オレンジページでは、さまざまなリサーチやデプスインタビューによる生活者のリアルなインサイト発掘、「兆し」の発見で、みなさまのマーケティング活動のお手伝いができればと考えております。ご興味がありましたら、下記までお問合せください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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文)オレンジページくらしデザイン部

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