前半では、オレンジページがこれまで「腸活」についてリサーチしてきたデータをご紹介してきました。
後半では、腸活している5名が投稿した食事日記をひもときながら、「腸活のリアル」に迫って参ります!
モニターNo.1 腸活歴10年! 便秘に悩むAさん
Aさんはフルタイム勤務の女性。20代のころから便秘に悩まされてきました。3~5日に1度しか出ないことが日常的で、なんとかしたいと10年以上腸活してきたそうです。
朝は水だけ、昼はゼリー飲料とバランス栄養食品
忙しいAさんは、朝はおなかが空かないからと、コップ一杯の水を飲むだけで、食事はとくにとっていません。昼は、2週間の食事日記のうち、10日間はゼリー飲料とバランス栄養食品でした。
間食は、腸活を意識して毎日ヨーグルトを200g!
毎日ヨーグルトは欠かさず、1日に食べる量は1/2パック、約200g。「腸活によいと紹介されていた」からと、長年実践しています。他にも、フルーツやふかし芋、食物繊維量の多いパン。腸活のために、かなりストイックにコントロールしている様子がうかがえます。
夕食は、どんぶり一杯のサラダと納豆がマスト
夜は野菜をとるために、どんぶり1杯分の野菜サラダを食べるのが日課。健康診断で脂質の数値がよくなかったため、油の多いドレッシングは使わずに、魚粉とお酢のみで味つけ。納豆と豆腐もほぼ毎日食べていました。
Aさんの腸内環境は……?
Aさんの腸内代謝物スコアは、平均を下回っていました。
ヨーグルト1/2パックを食べ続けるなど、「継続性」はモニター中ピカイチでした。ただ、「油分はとりたくない」「塩分も控えたい」など、気を使うあまり、いろいろなものを省く「引き算の食事」をしていて、食べられるものが狭まっているのでは…とも感じました。
こうした特徴から考えると、がんばるあまりに食事にかたよりが出てしまうAさんは、「思い込み腸活」タイプといえるでしょう。
モニターNo.2 納豆や乳酸菌飲料好き Bさん
Bさんは、家族と3人暮らし、仕事が忙しいフルタイム勤務の女性。腸活歴は1年以上3年未満、玄米や雑穀などを積極的にとっています。
「乳酸菌飲料を毎日」→実際は週3~4回
こちらは、Bさんの1週間分の朝食写真です。応募時のアンケートでは「乳酸菌飲料は毎日飲んでいる」との回答でしたが、実際には、2週間のうち7回しか登場していませんでした。
「納豆は毎日」→実際は週に1~2回
同様に、「毎日納豆を食べている」という回答でしたが、実際には2週間のうち、納豆を食べたのは3回だけ。意識と実態に大きな乖離がありました。
ただ、こうした意識と実態の「ズレ」は珍しくはありません。
読者に食事日記を登録してもらう「ダイエットマラソン」企画では、
終了後に日記を読み返すと、「思った以上に甘いものを食べていた」「こんなに間食をしていたなんて」と、驚く声が多数寄せられました。本人の自己申告が、必ずしも実態と合致していないのは、リサーチにおいて注意しなければならない点だと思います。
Bさんの腸内環境は……?
B子さんの代謝物スコアは65。平均よりも下回っていました。
乳酸菌や発酵食品をとろうと意識しているB子さんですが、自分が思うほどには食べていないことが明らかになりました。
意識と実態にズレがある、「つもり腸活」タイプと言えそうです。
モニターNo.3 結婚して腸活に目覚めた Cさん
Cさんは、結婚して1年あまり、パート勤務の30歳。夫の食生活を変えたいと腸活を始めたそう。排便で困ったことがないという「快便」派でした。
納豆とキムチ、1日2回は当たり前⁉
昼はしっかり食べるのがCさん流。「夜ごはんかな?」と思うほど何品も並べて、しっかり食べています。
とくに納豆は大好きで、1日2回は当たり前。3回食べてしまう日もあるそうです。みそやキムチといった発酵食品も、毎食のように食べています。
Cさんの腸内環境は……?
腸内代謝物スコアは82。モニター10人のうち、真ん中くらいの結果でした。
特徴的だったのは、発酵食品をいろいろな形でとっていること。その一方で、1日2回キムチ豆腐と納豆が登場したり、毎日のように「ぬか漬けきゅうりとプチトマトとゆで卵」が出てきたりしています。登場する食材の幅は、あまり広くありません。
Cさんは、よいと思ったものをとことん追求する「ばっかり食べ腸活」タイプと言えるでしょう。
モニターNo.4 発酵食使いの達人! Dさん
中高生のお子さんがいるDさん。発酵食品をとることを心掛けている、自営業の40代女性です。
つねに10品以上の発酵食品を常備!
つねに冷蔵庫には、手作り発酵食品が入っているというDさん。
調査時にも、塩こうじ、醤油こうじ、塩レモン、発酵トマト玉ねぎから、奄美大島の発酵飲料「ミキ」などを作っていました。
発酵調味料・発酵だれを毎日活用
赤丸のついたものは、発酵調味料を使った料理です。塩こうじや甘酒を炒めものに使ったり、発酵トマト玉ねぎを納豆のトッピングとしたり。おやつにも甘酒を使ったスムージーを楽しむなど、発酵食品を使いこなしていました。
Dさんの腸内環境は……?
Dさんの腸内代謝物スコアはとても高く、92をたたき出しました。
10品以上発酵食品を作るなど、もはや「発酵食マニア」といえそうですが、特徴的だったのは、「発酵食品を楽しみながら利用している」こと。
「おいしいから続けているし、楽しい」のだそう。飽くなき食への探求心が、Dさんの腸活を支えているのかもしれません。
Dさんは、おいしいが続ける原動力、食いしん坊腸活さんといえるでしょう。
モニターNo.5 新しい情報に目がない Dさん
腸活歴が10年以上になるというEさん。フルタイム勤務の50代女性です。腸活を気にして、ありとあらゆる情報を試してきたそうです。
朝は「冷たいアイスオレ」がMY ルール
あらゆる腸活を試した結果、朝食時に特濃牛乳を使ったアイスオーレを飲むと、便通がよいと気づいたそう。アイスオレに、食パン1/2枚にピーナッツバター、あるいはサラダといったものを添える日もありました。
夕食はいろいろ並べる「小鉢スタイル」
体重の増加を抑えたいEさんは、夕食ではご飯や麺といった糖質をとらない日も多く、いろいろなものを少しずつ食べる「小鉢スタイル」。このとき、大根おろしともずくと納豆を合わせたものを食べると、調子がよいそう。たびたび登場しています。
Eさんの腸内環境は……?
なんと、腸内代謝物スコアが100点満点! この好スコアの背景には、食事日記からは「いろんな食品を食べている」ことが見てとれます。
腸活のために、あらゆることを試してきたそうです。乳酸発酵の「阿波番茶」を試していたり、かなり情報感度が高いかたでした。そうして試したもののなかから、自分に効くと感じたものだけを実践しています。
Eさんは、自分によいものを上手にチョイスしている「幕の内弁当」腸活タイプだと言えるでしょう。
【まとめ】腸活の「リアル」から見えてきたこと
今回の腸活モニターは、同じような条件でスクリーニングしたにもかかわらず、データでは捉えきれない多様な食スタイルが浮き彫りになりました。
また、腸活に対しては、便秘、ダイエット、免疫力アップ、アレルギー解消など、他方面にわたる効果を期待している人が多いものの、効いているかは実感できていない人も少なくありません。
「肌であれば、目に見えるから効いているか実感できるが、腸内は見えないから、実感が持てない」と回答されたかたもいました。
そのため、いろいろなものを買っては試し、また新たなものを探す…といった「腸活迷子」になっている人も少なくないようです。
これから求められるのは「パーソナル腸活」?
便秘がちな人、おなかが張ってしまう人、おなかを下しやすい人。おなかの調子は人によってまったく異なります。それぞれ、食べるべき食材や、食べるタイミングなどは変わってくるはずです。
これから求められるのは、私にぴったりな、私のためのパーソナル腸活ではないでしょうか。
「バランスよく食べましょう」というだけではなく、その人にとって「バランスがよい」のは、どんな食材で、どんなメニューなのか。
より具体的に提示できれば、実践する人も増え、効果を実感する人も増えていくのではないでしょうか。
オレンジページでは、さまざまなリサーチやデプスインタビューによる生活者のリアルなインサイト発掘、「兆し」の発見で、みなさまのマーケティング活動のお手伝いができればと考えております。ご興味がありましたら、下記までお問合せください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
文)オレンジページくらしデザイン部