さまざまな部署からメンバーが集まり勧められた「みんなのオレペPROJECT」。コーポレートロゴをつくることにとどまらず、オレンジページのこれからを考えるプロジェクトに発展していくなかでは、どのようなコミュニケーションが交わされたのでしょうか。
プロジェクトメンバーである広報担当の遠藤由美子、エディトリアルコンテンツ部の山田かおり、くらしデザイン部の吉岡華子、そして、伴走者である株式会社スマイルズのクリエイティブディレクター、林大輔さんが振り返りました。
手数を増やし、多彩に生活実装していく
―「全員“へん”集長会議」で普段と違うコミュニケーションをとることで、発見したことはありましたか?
山田かおり(以下「山田」):ワークショップの開催後、最終課題として「やりたいこと」を提出してもらったのですが、そのなかには今まで見たことないアイデアがたくさんありました。だから、ひらいていける要素はもうあるなと思ったんです。
同時に、これまでのオレンジページからいい意味で離れられない人がいることが確認できたのも収穫でした。扇の要ではないですが、重石になるような人がいて、揺るぎない土台がすでにあるからこそ、新しいことをやりたい人はどんどんひらいていけるなと。みんながみんなひらいてしまうと空中分解してしまうので、重石になれる人がいることは、ある意味でオレンジページの財産だなって。
―「全員“へん”集長会議」で得たことは、タグラインの「生活実装する会社」やスローガンの「ページをほどこう.」にどのようにつながっていったのでしょうか。
山田:私は27年間、レシピを紹介する料理本の編集をずっと担当してきたんですけど、数年前から生活実装を家庭の台所だけに向けることに行き詰まってしまい、レシピ情報+αの気づきがある本をつくり始めました。
ちょっと変わった食材の本だったり、食卓に取り入れられる健康情報の本だったり。それは料理というセクションのなかで、レシピ紹介とは別の“矢”の打ち方を試していることになると思うのですが、オレンジページ全体で同じようなトライアルをしたら、これまでにないいろいろなプランが出てくるんじゃないかなと思っていて。
みんなが料理上手なわけではないし、外食の達人的な筋金入りの食通がたくさんいるんですよ、オレンジページには。そういう側面もどんどん出していけば、料理をつくることだけではない+αの生活実装ができる。
そんなふうにも思っていたので、「生活実装はこれまでにもやってきた。でも、これからはその手数を増やしたり、形を変えてやっていく」という意思を込めた「生活実装する会社」というタグラインはすごく腹落ちしています。
―型を追求していったからこそ、その型から解放されていくということですね。
山田:そうです、まさに型があっての“型破り”ですよね。私が作った健康情報の本は、とっても地味な内容なんですけど、企画の主旨に共感してくださった企業や団体がまとめて買ってくださったり、一緒に本をつくりませんかと声をかけていただいたりしました。
外部から問い合わせをいただけるとうれしいですし、自分自身のモチベーションも上がります。そんな問い合わせが10個になり、100個になっていけばいいなと思います。
大事なのは、外に向かって「ほどいた」活動をしていくこと
―これからのオレンジページに対するワクワク感はありますか?
吉岡華子(以下「吉岡」):あります。というのも、すでに新しい考えが生まれるようになっているなと感じるんです。たとえば、私のうしろの席のスタッフが、日本に来た難民の方に故郷の味を教わる料理教室をしてもらったり、ロヒンギャ難民について知ってもらう「難民ごはん」という企画を立てています。
そんなふうに、きっと以前では出なかった企画が出やすくなってきている。そういう“芽”のようなものはほかにもあると思いますし、私自身も今、まったく畑違いの会社さんに売り込みに行こうと考えていたりと、少しずつ動けるようになってきました。
―「ページをほどこう.」というスローガンが、新しい拠り所になりそうですね。
吉岡:そうですね。本流でも、そうでなくてもいいんだと思える。新しいことを発しやすくなっているのではないでしょうか。
遠藤由美子(以下「遠藤」):プロジェクトでのさまざまなやりとりを通して、これまでのオレンジページを無理して守らなくても、確信を持てるものがあることを再確認できたので、スムーズにほどいていけるなと。「ページをほどこう.」という言葉を携えて、今後、新たな動きができるし、すごく自由になれるなと、私は思います。
―これからは協業や価値共創に対してもよりひらかれていく予感がします。今後、オレンジページの価値をどのように打ち出していきたいと考えますか?
山田:私、コラムニストのジェーン・スーさんが大好きなんですね。そのスーさんがラジオ(Podcast)で話しているのを聞いてなるほどと思ったのが、彼女がレコード会社に勤めていたころのエピソード。
当時担当していたアーティストを、某有名音楽番組に出演させるために奮闘していたとき、先輩から「出してもらうのではなく、出てくださいと言われるようにならなきゃだめ。今あのアーティストがきてるらしいよっていう周りの評判がプロデューサーの耳に入って、そんなにいいなら出てもらおうかと向こうから声をかけられるようにしないとね。そのためにできることは全部やって!」と言われたらしいんですよ。それを聞いて、オレンジページにも同じようなことが言えるんじゃないかなと思って。
これからは、みんなが会社の外に出ていって「オレンジページがおもしろいことをやってるらしい」といろんな人の耳に入るように“火種”をあげていくこと、自社の枠にとらわれず、時には誰かと一緒に新しい生活実装の形を模索していくこと、これが大事なのではないでしょうか。その結果として「問い合わせが増える」のかなと。
ロゴとタグラインをつくって終わりではなく、「ページをほどこう.」というスローガンを常に頭に置いて、自分が積極的に外に向かって「ほどいた」活動をしていくことが大事で、そこまでやるのがプロジェクトのメンバーの仕事だと、私は思っています。
名前以上に“みんなの”プロジェクトになった
―プロジェクトに伴走し、ロゴやタグライン、スローガンを一緒につくりあげてきてきた林さんから見て、今後のオレンジページに期待することはなんでしょう?
林大輔さん(以下「林さん」):まさに火種をたくさんつくっていって、それが協業できるようなパートナーさんの耳に入り、声をかけていただける。そういう環境を生めるだけの弾は、「全員“へん”集長会議」でもわかった通り、すでにたくさんあるんですよね。だからあとは外に出ていくのみ。で、タグラインは経営陣からのメッセージとしてもGOサインが出たということでもあるので、これから先はどんどんひらいていっていただきたいです。
ロゴのテーマとしても、従来のロゴを分解しほどいていくだけではなく、それが世の中をオレンジ色に染めていくようなイメージでつくっています。みなさんが外に出ていくことで、きっとそれが10年後、20年後に実現できるはず。ポテンシャルは十分なので、あとはやるだけですよね。
―プロジェクトに参加した当初にくらべると、みなさんの意識が大きく変わった印象です。
吉岡:それはすごく感じますね。当初はロゴをつくることを目的としたプロジェクトだったので、会社のあり様を考えたり、こうだったらいいのにという意見を出すことになるとは思ってもみませんでした。自分もほどけて、これまでとは違うアクションをするようになったことに対して、率直にびっくりしていますね。これからも、みんなで変わっていければいいなと思います。
遠藤:もしひとつの部署でやっていたら、こんなことは起きていなかっただろうなと思います。プロジェクト内では、正直、議論がぐちゃぐちゃになったり、衝突したことが何度もありました。でも、だからこそこういう形に着地できたのだと思います。すごく大変だったけど、やってよかった。スマイルズさんには最初にお会いしたときからオレンジページと似たものを感じていたので、共感を持って仕事をすることの重要性もプロジェクトを通して感じました。
林さん:最初は「みんなでつくる会社ロゴプロジェクト」だったものが、「みんなのオレペPROJECT」という、ロゴだけじゃなくて会社全体を考えていくプロジェクトになった。名前だけじゃなくて、本当に“みんなの”プロジェクトになったことが、今回のプロジェクトで一番よかったところだなと思います。