オレンジページを動かす、さまざまな部署の個性的なメンバーたち。それぞれのワークスタイルから、多岐にわたる業務やオレンジページのカルチャーが見えてきます。今回登場するのはコトラボ推進部の石井麻美。料理教室の企画・運営に奔走する日々を支えているのは、部のメンバーたちとの助け合いと、家族と一緒に過ごす時間だといいます。業務内容から生活の基盤まで、幅広く聞きました。


部会はメンバーが顔を揃える貴重な機会

—まずはコトラボ推進部の業務内容について教えてください。

石井麻美(以下「石井」):JR阿佐ケ谷駅の高架下にある体験型スタジオ「コトラボ」を運営しています。行っているのは主に料理の講座。コトラボで内容を考える通常の講座と、タイアップの講座があります。前者は雑誌『オレンジページ』に掲載されているレシピを使ったり、レシピを手がけた料理家さんに講師を務めてもらったりと、雑誌と連携したものも多く、週4日、1日2講座を開講しています。後者はクライアントさんから「この素材をPRしてほしい」といった話を受け、料理家さんも一緒になって企画を練ります。わたしはその両方の料理講座の企画・運営を担当しています。

石井:コトラボの特徴のひとつは、『オレンジページ』のよさを伝えつつ、雑誌ではできないこともできるところです。雑誌では自宅で手軽につくれるレシピが中心で、調味料もポピュラーなものが用いられるのですが、たとえば「世界の料理」がテーマの講座では、アジアンスーパーに行かないと手に入らない調味料を使ってみたり。毎日はつくれないけど、週末に友だちを招いておもしろい料理を振る舞いたい!なんていうときのために喜ばれるものが多いと思います。自宅でひとりでつくるにはハードルが高いメニューも、コトラボであれば食材も用意してくれるし、スタッフに手厚くサポートしてもらえる。そんなところがメリットであり、雑誌とは違うところです。

―雑誌でレシピを紹介している講師と一緒にお料理ができるなど、雑誌の世界観を「深める」だけではなく、対面でコミュニケーションをとりながら雑誌の世界観を「広げる」という、ふたつの役割があるんですね。

石井:まさにそうです。講師から「わたしは雑誌では時短レシピのイメージがあると思うんだけど、実は世界の料理も得意なの」というお話を聞き、「じゃあコトラボでそれをテーマにした講座をやってみませんか?」という流れで講座が立ち上がったこともあります。メディアに出ている普段のイメージとは異なる講師の魅力を、コトラボならではの講座を通してお伝えできていると自負しています。

―とある1日のタイムスケジュールを教えてください。

石井:部会がある日のスケジュールですと、9時半ごろに出社し、まずその週の予定を確認してメールをチェック。担当講座の集客具合を確認して、必要があればSNSで告知したり、オンラインミーティングや事務作業を行います。12時前から部の同僚とランチに出て、13時から15時30半ごろまで部会。その後、16時から18時半は一旦仕事を中断して息子のお迎えやごはんを済ませ、18時半から1時間ほど、自宅で残った仕事をこなします。

―「部会」というのは、コトラボ推進部の会議のことでしょうか?

石井:はい、コトラボ推進部の定例ミーティングです。コトラボ推進部には三田の本社オフィスで講座の内容を考えたり運用をしたりしているスタッフと、阿佐ヶ谷のコトラボで店舗の運営をしているスタッフがいます。

―店舗スタッフは講座がない日にもコトラボにいるんですね。

石井:はい、おおよそ週4日の通常講座の開講日以外も、雑誌の撮影場所に使われたり、タイアップ講座が行われたりしているので、その対応のため、店舗に常駐しています。なので、部会は三田のメンバーと店舗スタッフが顔を合わせる貴重な機会なんです。三田のメンバーは普段は在宅勤務をしている人も多いのですが、部会の日は基本的に出社します。店舗スタッフはオンラインで部会に参加します。 部会の日は、みんなでランチに行くのも楽しみのひとつ。仕事やプライベートの話でいつも盛り上がります。子どもがいたりすると、「いまうちの子はこんなことやってるんだ」なんていう話も。コトラボ推進部はほんとうに雰囲気が平和で、部会もいつも穏やか。和気あいあいとした感じで進めています。

リアルな場だからこそできる、工夫が詰まった料理講座

―仕事をしていて、楽しさややりがいを感じるのはどんなときですか?

石井:タイアップ講座は、クライアントさんとしっかりお話をさせていただいたうえで企画を練り、つくりあげます。そうして「次年度もまたやりましょう」など、次につながったときは、頑張ってよかったなと思いますね。

―クライアントからはどういった点を評価されていると感じますか?

石井:やはり、リアルな意見を聞くことができるところでしょうか。最大16名という少人数の講座なので、一人ひとりの感想を聞けることは大きな特長だと思います。料理講座と合わせて座談会を行ったこともあり、座談会にクライアントさんもインタビュアーとして参加してもらい直接お話を聞いていただけるようにしました。

タイアップ講座ではほかにも内容に合わせていろいろな工夫をしています。たとえば手作りドレッシングは多めにつくるようにしてお土産にしてもらったり、その日のレシピを小冊子にまとめてお渡ししたり。小冊子にはレシピ以外に料理の豆知識を載せたり、写真を貼れるページをつくったりと楽しんでいただけるようにしたら、クライアントからまた同じ形で講座を行いたいというオーダーをいただきました。 それから、会場に飾る花の色を講座のイメージに合うよう統一したり、世界の料理をつくる講座では国旗のガーランドを会場内に飾ったりと、コトラボに来てよかったと思ってもらえるように装飾もアレンジしています。

―お客さまだけではなく、クライアントにリピートしていただけるのはうれしいですね。

石井:はい、本当にありがたいです。ほかにうれしい瞬間といえば、やっぱり予約が満席になったときですね。通常の講座の企画はほぼ担当者の采配によるもので、「次はなんの料理をどの時間帯でやろうかな」と、ゼロから自分で企画を立てることができます。そうしてつくった講座が募集開始とともに満席になると、「ああよかった、間違ってなかった」って。

一方で、集客が思うように伸びないこともあります。そういうときは振り返りの会議で懸念点を出し合い、同じ先生でもアプローチの仕方を変えるなど、次の講座で改善できるよう努めます。

コトラボ推進部は小さな家族

―オレンジページでの働き方で気に入っているところはありますか?

石井:入社した当初、先輩から言われてすごく印象的だったのが、「残業はあまりせず、土日もできるだけ働かないこと」という言葉でした。「『オレンジページ』は生活情報誌だから、まず自分たちが楽しく暮らしていなければいいものを発信できないし、これを人に伝えたいっていうことにも出会えないよ」と。「仕事だけに集中するのももちろんいいことだけど、外に出たり、おうちでの暮らしを充実させないと、読者が日々感じるような家事の困りごととかもわからなくなってくる」とも言われましたね。

出版社は昼ごろに出社して深夜まで働くようなイメージがあり、規則正しい生活とはほど遠いのかなと思っていたんですが、逆だったんです。一般的な生活をしなさい、暮らしを楽しむのも仕事の一部だということを聞いて、なんてちゃんとした会社なんだと思いました。自分が楽しいことを伝えられる環境にいられるのって、すごくいいなって。

最初に編集部に配属されたとき、もちろん忙しいんですけど、スケジュール管理を徹底して、仕事もプライベートも楽しんでる先輩がたくさんいて、ああこういうことなんだなと実感しました。

―いま世の中で推奨されているような働き方が、オレンジページではずいぶん前から行われていたんですね。最後に、石井さんが生活者であると実感する瞬間について教えてください。

石井:いまの話にも通じるのですが、オレンジページが時間の管理に重きを置くのは、生活を大切にしようという考えがあるからです。いま私の生活の基盤になっているのは、家族と過ごす時間。子どもとの暮らし方をいかに充実させられるか、そのためになにができるかということをつねに考えています。

家族と過ごす時間について考えることは、わたしと同じように家族との暮らしを大切にしたいと考えている人たちへのアプローチにも活かせると思い、たとえば小さな子どもがいる親御さんってなにが大変なのかな、なにがほしいと思っているのかなと考えて親子講座の企画に反映したりしています。

―自分の暮らしを見つめて磨いてきたものが業務にも還元されているんですね。

石井:子どもは成長するにつれて外に出ていきます。家族一緒のコミュニティを大切にできる時間ってすごく限られていると思うので、いまを大事にしたいです。そんな働き方を尊重してくれる社風なのは、きっと、たくさんの先輩たちがオンラインツールも時短勤務もない時代から頑張ってきてくれたから。オレンジページには、子どもがいても編集長やデスクを務めている方もいらっしゃいますし、子育てをしながら仕事をしているママさんも多くいます。会社全体だけでなくコトラボ推進部も、子どもがいてもすごく働きやすいので本当にありがたいですね。

コトラボ推進部は、言うなれば小さな家族です。誰かが困っていたらすぐにサポートに動きますし、しかも恩着せがましい感じはまったくなくて、お互いさまだよね!という感覚。助けるほうも気軽に手を貸せるし、いい部だなって。わたしは、コトラボ推進部がすごく好きです。