オレンジページを動かす、さまざまな部署の個性的なメンバーたち。それぞれのワークスタイルから、多岐にわたる業務やオレンジページのカルチャーが見えてきます。今回話を聞いたのは、デジタルコミュニケーション部の渥美佑子。日々の業務やデジタルコンテンツ制作への思い、そして自身の「生活実装」について語ります。


リニューアル後の「オレペnet」と多岐にわたる業務

—渥美さんの所属する部署の業務内容やご自身の役割について教えてください。

渥美佑子(以下「渥美」):私はデジタルコミュニケーション部のなかにあるnetチームに所属しています。今年の5月にリニューアルしたWEBメディア「オレンジページnet(以下「オレペnet」)」を中心にWEBまわりのことを担当する部署で、私はオレペnetやSNSの編集業務のほか、管理業務を担当しています。

オレペnetは雑誌の『オレンジページ』や『オレンジページCooking』、そのほかのムックなどと同様に、料理や暮らしの情報を届けるWEBメディアです。リニューアル前までは本誌などからの転載記事が大半だったのですが、リニューアルするにあたってWEBチームでオレペnet独自のコンテンツを考えました。いまは転載記事のほか、著名人による連載記事、全国の読者から選出した「オレペエディター」によるブログなどがあります。私は記事制作や編集をしながら、毎日の更新や記事を書くみなさんへのアナウンスなど、進行管理をしています。

また、営業の部署が受注したタイアップの仕事をメンバーに振り分けたりする編集窓口や、WEBのリニューアルはこれから調整していく部分もあるので、リニューアル業務の窓口も担当しています。

オリジナルコンテンツを充実させたリニューアル後の「オレンジページnet」。

—幅広い業務を担当しているのですね。メインになっているのはどの業務でしょうか?

渥美:仕事のボリューム的にはオレペnetの記事制作でしょうか。刊行物からの転載記事もオリジナルコンテンツもあるので、記事制作に使う時間が一番多いと思います。

—渥美さんの1日の仕事の流れを教えてください。

渥美:日によってばらばらですが、日中は定例の部会があったり、SNSチームやSEO対策チームなどの定例会議に参加することが多いです。あとは連載やタイアップの打ち合わせなど、毎日だいたい3本くらいは打ち合わせがあります。その合間に記事の原稿整理やサイトへの流し込みなどの作業をしています。

—会議や打ち合わせの間だと作業がどうしても細切れになってしまうと思いますが、集中して記事を書くのが難しいということはありませんか?

渥美:原稿制作のなかには、決まった作業でどんどん進められる仕事もあるので、隙間時間ではそういったものを優先的に進めています。たとえば、刊行物のレシピをWEB用に整えるなどですね。企画や構成を考えたりするのはやはり集中して頭を使いたいので、ある程度まとまった時間が取れるときに進めることが多いです。

個性豊かな先輩から学んだ編集視点と仕事の進め方

—1日の中での時間のやり繰りや仕事の配分はどのようにしていますか?

渥美:1日が本当にあっという間です。私はもともといろんなことをスピーディーにこなせるタイプではないので、なるべく効率的に仕事全体を回せるように意識しながらスケジュールを組み立てています。

—オレンジページで働くうちにそういうスキルも磨かれていったのでしょうか。

渥美:そうですね。私は入社から6年間『オレンジページ』の編集をしていました。月に2回発行しているので、企画出しから校了まですべての業務が並行してどんどん動いていくという……。当時は本当にすごいスピード感だなと思いながらやっていましたが、マルチタスクはそのころに鍛えられた気がします。新人だったので、ありがたいことにいろんな先輩と組んで仕事を教えてもらい、先輩たちの仕事を見ながらエッセンスを取り入れて、自分が一番効率よくできるやり方を考えていきました。みなさん個性豊かで考え方も少しずつ違うので、編集的な視点も仕事の進め方もすごく勉強になりました。

—紙媒体での経験はいまのWEBでの仕事とつながっていると感じますか?

渥美:つながっていると思います。『オレンジページ』では料理初心者にもわかりやすいように丁寧に伝えることを重視していて、WEBでもそれは同じ。前後のページがある紙媒体の記事を抜粋して転載するときには、1本の記事でも成立するよう導入に説明を加えたりして、本誌チームの意図を汲み取り、辻褄が合わないということがないように意識しています。

—仕事をしていて楽しいときや、やりがいを感じるのはどんなことでしょうか?

渥美:やってよかったなと思うのは、できあがったものに対して読者などから反応があったときです。『オレンジページ』のころはお便りをいただいたり書店の担当から評判を聞いたりしていましたが、WEBはレスポンスの速さが全然違います。記事のPV数やSNSへの「いいね」、リプライやコメントなどですぐに反響がわかるので、怖くもありますが、やはり一番のやりがいになっています。WEBチームとしても私自身も、その反応を次の記事づくりの参考にさせていただき、毎日勉強しながら記事をつくっています。

毎日が生活実装。軸を持ち楽しみながら創造する

—苦労していることや大変だなと思うことなどはありますか?

渥美:今まさに模索しているのは“オレペnetらしさ”の確立です。レシピや生活情報の記事をまとめたWEBメディアはほかにもたくさんあるので、そのなかでなにを強みにしていけるのか。オレンジページが培ってきた丁寧さはもちろん変わらず大事にしていきたいですが、それをどうやって打ち出したらみなさんに届くのか。雑誌の延長にあるWEBではなく、オリジナルなWEBメディアとしてのオレペnetの可能性をどう広げていけるのか。センセーショナルな見せ方をすればPV数は伸びるかもしれないけれど、私たちのカラーとは違うものになってしまうので、『オレンジページ』という軸を大事にしながら、数字と私たちが追求したいアピールポイントのバランスを探っています。

—オレンジページの働き方やカルチャーをどう捉えていますか?

渥美:社員みんなが個性豊かで、それを認め合っている社風がとてもいいなと感じています。つくられるものも、社員一人ひとりが持つオレンジページのイメージと、自身の強みや得意分野がグラデーションになったようなコンテンツが多い印象です。それぞれのやり方やポリシーはありますが、前提として“オレンジページらしさ”が共有できているので、お互いを尊重しながらみんなでつくり上げていこうという意識が生まれている気がします。また、オフィスで日常的に社長に会うことができたり、上司にも話しかけやすかったり、気負わずに相談することもできます。その距離感や、フラットに人の意見を聞いてくれる雰囲気がありがたいですね。

—渥美さんはどのように「生活実装」を実践しているのでしょうか。

渥美:仕事で扱っているコンテンツは料理や生活情報にまつわるものなので、そもそも自分の暮らしとすごく密接に関わっていると思っています。私はコンテンツのつくり手でもあるけれど、受け手でもあるという感覚で、雑誌やSNSを見て「おもしろそう」「おいしそう」「やってみたい」と感じると生活のなかで実践したりしています。そのうえで、実際に試してみてどうだったか、なぜそれをやってみたくなったのかということを考えて、オレペnetやほかの仕事に活かしていくというサイクルをつくりたいと思っています。

『オレンジページ』の編集部にいた新人時代は、つくり手としてはがんばっていましたが、コンビニのお弁当が続くことがしょっちゅうで料理もせず、生活者としてはちゃんと生活できていませんでした。その後、親会社に出向になったのですが、ちょうどコロナ禍だったこともあり、自炊をする生活になりました。それでオレンジページに戻ってきたら、いつのまにか少し見え方が変わっていたんです。毎日料理をするようになると、どこが面倒なのかがわかるようになるなど、生活者としてのリアルな視点が加わり、少し前進できた気がしています。いまは休みの日もつくったものを写真に撮ったりメモしたりもしますが、無理せず楽しみながらやっています。