オレンジページを動かす、さまざまな部署の個性的なメンバーたち。それぞれのワークスタイルから、多岐にわたる業務やオレンジページのカルチャーが見えてきます。
今回登場するのは、デジタルコミュニケーション部に所属し、『オレンジページ』の副編集長を務めている大橋智美。ふだんの仕事のスタイルをはじめ、大切にしていることやオレンジページらしい誌面づくりについて語りました。


仕事と育児を両立させるために、朝の時間を有効活用

―現在の業務内容について教えてください。

大橋智美(以下「大橋」):雑誌『オレンジページ』の副編集長として、主に料理のページのチェックを担当しています。具体的には、全体の編集会議で企画とおおまかな構成が決まったあと、各ページの担当編集者と詳細を詰めます。そのうえで、担当編集者と料理家さんが打ち合わせをした内容をもとにメニューなどを決め、コンテのチェックや撮影の準備を行います。撮影や取材を終えたあとは、原稿や誌面レイアウトを確認したりと、担当編集者と一緒に誌面をつくっていきます。

―1日のタイムスケジュールはどのような感じでしょうか?

大橋:いまは在宅勤務が中心で、出社するのは週2回くらい。小学生と3歳の子どもがいて夕方以降はバタバタすることが多いので、朝の時間を有効活用しています。5時ごろに起き、ひと仕事して、在宅勤務の日は子どもたちを学校や保育園に送り出してから、18時半くらいまでみっちり作業。夕食の片づけが済んだあとは、夫がいる場合は子どもを少し見ていてもらい、そのあいだに残りの作業をしてから寝かしつけをします。そのまま子どもたちと一緒に寝ることが多いですね。

―お子さんが産まれてから朝型のスタイルになったのですか?

大橋:そうなんです。もともとは完全に夜型で、朝型になれるとも思っていませんでした。コロナ禍を機に在宅勤務の制度や環境が一気に整い、自宅でも仕事ができるようになったことは、育児と仕事を両立するうえでとてもありがたいです。

編集者たちの迷いが晴れるように伴走したい

―仕事をしていて、よろこびややりがいを感じるのはどのようなときですか?

大橋:いち編集者としてと、マネジメントを行う副編集長として、それぞれのやりがいがあります。
編集者としては、料理家の方のアイデアをうまく引き出しながら企画を詰めていき、そのあとカメラマンさんやスタイリストさん、デザイナーさんと一緒に、企画が目指すべき狙いを同じ目線で話し合いながら共有する。そうした工程を経て上がってきた誌面が、自分の想像以上のものになっていると毎回感動します。

『オレンジページ』は月に2回発行しているので制作サイクルが早く、効率よく進めていくことが重要です。なので、事前に方向性をきっちり固めることを心がけているんです。たとえば「カジュアル」「ポップ」「しっとり」など、そのページをどんなテンションにしたいかを擦り合わせておいて、原稿やデザインはそれに合わせてつくります。あとから大きな修正が発生しないように、みんなで足並みを揃えて制作しています。

副編集長としては、編集者が迷ったときに対話を重ね、少しずつ解決に向かっていくことがいちばん大切で。そうして彼らの迷いがパッと晴れたときに、「ああよかった」と、この企画に関してはちゃんと導けたかなと思えるんです。ただ、すぐに正解を出せず一緒になって悩んでしまうことも多いので、ここに関してはまだまだ苦心するところ。出社したときなどに編集部員と積極的にコミュニケーションをとりつつ、もっと対話力を磨いていければと思います。

料理専門誌『オレンジページCooking』の編集部に在籍していたときの制作風景。
左/撮影現場で料理家と盛りつけ方を相談。 右/表紙のデザインをみんなで検討。書店の棚にダミーを置かせてもらい、その写真を見ながら協議した。

―反対に苦労しているのはどのようなところでしょうか。

大橋:仕事と育児を両立するなかで、情報収集の時間がなかなか取れないところでしょうか。特に平日はやることが詰まっているので、その時間を捻出するのが難しいところがあります。

『オレンジページ』は生活情報誌なのでもちろん料理以外のコンテンツもありますが、巻頭を飾る企画は料理です。季節に合わせた誌面づくりをするうえでは、6月はナス、秋は根菜というように、時期によってレシピに使いたい旬の食材がおおよそ決まっているので、いかに既視感がないものにするかがほんとうに難しいなと思っていて。ヒットレシピが毎号出るのが理想ではあるのですが、そこも、情報収集が重要になるんですよね。

なので、少しでも情報を集められるように、打ち合わせの場や撮影現場でスタイリストさんや料理家の方などにお話を聞くようにしています。やっぱりみなさん常にアンテナを張っていて、「この料理家さんが素敵だよ」「この店がいま人気みたい」といった話がたくさん伺えるので、企画を立てるときにすごく参考にさせていただいています。

編集者の“おせっかい”が、オレンジページらしい誌面をつくる

―オレンジページの社風で、気に入っているのはどのようなところでしょうか。

大橋:みんな忙しいながらも、常に相手の立場に立って仕事をしているところです。私は入社して18年になりますが、これまでに理不尽な指示を受けて困ったという経験はありません。もちろん大変な局面は山ほどあったのですが、誰かに嫌な思いをさせられたことはないんです。ほかの会社に勤めたことがないので比較はできないのですが、転職をせずずっとオレンジページに在籍し続けているのは、居心地のよさがあるからだと思います。

そういうところって、結局誌面づくりにも通じるというか……『オレンジページ』では、レシピひとつとっても、「これだとつくりにくいかな」「この順番のほうが片付けの手間が少なくなるな」と、読者のことを考えながらつくるんです。各々の性格の根底に「相手の立場に立って考える」という部分があるからこそ、オレンジページらしい誌面づくりができるのだと思います。おせっかいとも言えますね(笑)。

実は私は、就活してから初めて『オレンジページ』を読んだのですが、そのとき「なんだこの親切な雑誌は!」とおどろいたんです。なんだか優しさがにじみ出ている気がして、そこからオレンジページに入社したいと考えるようになりました。

―最後に、大橋さんの「生活実装力」について教えてください。

大橋:うちの家のごはんはすべて『オレンジページ』から学んだと言えるくらい、全部が生きています。「お肉をこれに漬け込んでおけばいいか」とか、「これならほったらかしでつくれるな」といった時間がない平日の料理にはもちろん、休日の食卓にも。週末にしっかり料理をすることが私の唯一のリフレッシュ方法で、お酒を飲みながらゆっくりごはんをつくって食べるのが楽しいのですが、その料理のベースになっているのも『オレンジページ』で知ったレシピだったりします。

料理に限らず、洗濯や掃除、整理整頓といった暮らし全般のアイデアも『オレンジページ』から得ています。なので、「暮らしを豊かにしている」と言ったら大袈裟かもしれませんが、私の暮らしのいたるところに『オレンジページ』が役立っていますね。

―編集者であり、読者でもあるのですね。

大橋:そうですね、自分も暮らしに生かしているからこそ、ほんとうに役立つものを紹介したいと思っています。だから料理家の方とレシピを相談するときも、「このタレって最初に混ぜておいたほうがいいですか?」とか、「ボウルで混ぜると洗わなきゃいけなくなるから、一気にフライパンに入れるんじゃダメですか?」とか、なるべく手間と洗い物と工程を減らせるように、いつも細かい調整をしています。小うるさいので料理家さんには煙たがられているかもしれませんが(笑)、みんなそういう気持ちで、生活者視点に立って誌面をつくっています。